SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「だから離れるって? それ、逆だから」
上から声が降ってきた。
「……え、」
「離れる方がオレは悲しい。美空がそばにいてくれたら、それだけでオレはこの先ずっとずっと幸せだから」
「……しあわ、せ……?」
「うん。だからもう二度とオレの前からいなくなったりしないで」
「……湧人……」
「約束して。ずっとオレのそばにいるって……」
包み込まれる腕の中、こんなにも想いが溢れてくる。
言われなくても離れたくない気持ちがあたしの中に強くあった。
「約束する。あたし、ずっと湧人のそばにいる」
そう言うと“フッ”と湧人の吐息がもれる。
「じゃあ、」
「……?」
「今日からは友達じゃなくて、恋人に……なろ?」
少しだけ体を離した湧人が、しっかりと目線を合わせて言ってきた。
「美空、オレの彼女になって?」
まっすぐ見つめる銀の瞳はいつも以上にとてもきれいで、あたしは湧人から視線が外せない……
「うん、なる! あたし湧人の彼女に」
そう返すあたしを湧人は再び抱きしめる。
まるで宝物でも抱えるようにあたしを腕に閉じ込めた。
「……オレ、今すごい幸せ……」
——サワサワサワ……
ハンカチの木が揺れている。
陽光が差す地面には重なり合うあたしたちの影があった。