SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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それからあたしたちはベンチに座って話していた。

ハンカチの木の前、ここは風が通って案外涼しい……


「これ、いつの間にか作ったんだね、イス」


「うん、ゆっくり見られたらって思って……美空と。もし、帰ってきてくれたら……」


ぎゅっと右手に力がこもる。


「帰ってきてくれて良かった」


「……うん……」


あたしはさっきから繋がれたままの手に目をやった。

もう離れないって言ったのに湧人はずっと手を握ったままだ。

ちょっと離そうとするとすぐにぎゅっと繋ぎなおした。


「ごめん美空。オレ、これからはちゃんとする。美空の事、もっとしっかり見てるから」


「……? 湧人はちゃんとしっかりしてるよ?」


「……全然」


湧人は首を横に振った。
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