SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「ヤバいよ美空っ!」
“寝不足だとろくな事にならない”
それを裏付けるように、焦るグリムの一言からあたしの災難は始まった。
「抜き打ちの持ち物検査だって! 美空っ、それどうするの⁉︎」
グリムが指差すのは小道具が入ったあたしの大きなスクールバッグ。
朝のホームルームはいつもと違い、風紀委員というやつらがみんなのバッグの中身を確認して回っていた。
「どうするって、見られたらだめなの?」
「ダメに決まってるでしょ! それ何が入ってるんだっけ⁉︎」
「……えっと、花火、粘土、缶詰、洗剤、お面、ろうそく、マネキンの頭……あとは、ロープとノコギリとスタンガンと……」
「……っ、そんなもの見られたら大変な事になるよっ! いろいろ聞かれて停学か退学かっ……とにかくヤバいよ! ヤバすぎるよっ!!」
「……え⁉︎」
……そんなこと言われたって……
そうこうしているうちにだんだん順番が近付いてくる。
「……っ、」
……あたしは、
——ポイッ!
バッグを窓から投げ捨てた。
「……あっ、 ……え⁉︎」