SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を


やっと男たちを引き離した頃、すっかりお昼の時間になっていた。

みんなご飯を食べたり喋ったり、広い中庭には所々に小さなカタマリが出来ている。


「はあ〜」


あたしは中庭の端の方、木の根っこに寝転がる。


……もう、今日はほんとに散々だ。


“寝不足だとろくな事がない”


五年経ってもそれはやっぱり変わらなく、昨日寝てないせいもあり、あたしの体はグッタリだ。


……寝よう寝よう、今すぐ寝よう……


あたしはぎゅっと目を閉じる。 すると、


——ガアッ! ガアアッ!!


さっき窓から突っついてきたカラスが再びあたしを襲ってきた。


「だから違う! あたしはタマゴ取ってない!」


——ガアッ!!


……もう、

何故かあたしがタマゴ泥棒と思われているのだ。


「どっか別の鳥が持ってったの!」


——ガアアッ!


「わかった! 今からタマゴ取り返してくるから!」


あたしは急遽盗まれたタマゴを探す為、その場からささっと歩きだす。


————⁉︎


また違和感に襲われて、あたしはピタッと足を止めた。


……あ、れ……


“ ドクンドクン……”


胸に迫るソワソワ感。


昨日と少し違うのは、


ちょっと離れた後ろの方、 誰かの視線を感じてる……


“ドクンドクンドクンドクン……”


————ガアアア〜ッ!!


振り返ろうとしたあたしにカラスは猛烈に突ついてくる。


「わかったって! そんなに怒らなくてもいいじゃないか!」


引っかかりを感じつつ、あたしはその場を後にした。
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