SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

「……中庭?」


「うん! そこにね、王子がいるんだって! このあいだ見かけた二人目の王子! 王子見たらきっと美空も元気になるよ!」


「……グリム、あたし、別に王子見ても元気になんか……」


「え〜⁉︎ 癒されに行こうよ〜! 私もっかい見てみたいんだぁ〜♪」


……なんだ。

やっぱりグリムがただ王子を見たいだけ。


「最近ね、王子、よくお昼に中庭に来るんだって! 誰か探してるみたいなんだけど……」


「……?」


「女の子ともよく喋ってるって〜、一人、そのコまだ彼女じゃないらしいんだけど……」

すると、


「やあ」


誰かが声をかけてきた。

そこにいたのは三年の王子、生徒会長の黒崎蓮。


「……きゃっ、王子っ⁉︎」


王子を前にグリムは顔を赤くした。


「美空、キミに話があるんだ。ちょっと来てくれないか」


「だめだ、あたしちょっと——」
「どうぞどうぞ!」


グリムがあたしを差し出した。


「……え、 グリム……」


「まさかの王子からの告白じゃない⁉︎ 良かったね! じゃ、私中庭に行ってるから!」


耳打ちするとグリムは走って行ってしまう。


「もの分かりがいい友達だな?」


穏やかな表情から一変、男は腹黒い笑みを浮かべて言った。
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