SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「さっきから、それは違うと思うんだ」
「……は?」
「この世に絶対なんて事はないし、完璧なんてものもない」
「……何を言っている……この世の問題じゃない、オレは今この現状を言っているんだ」
「あたしも現状を言っている」
「……バカか。何度も言うがお前はここから出られない。オレが開けない限り絶対ドアは——」
————バリンッ!
大きな音が室内に響いた。
飛び散る破片、割れた大きなガラス窓……
「……っ⁉︎」
あたしは側にあったイスを窓に向かって投げつけていた。
その衝撃に窓ガラスはいとも簡単に砕け散った。
「だから、絶対なんて事はない」
窓をすり抜けベランダに出る。
「入り口はそこが一つじゃないし、なければ作ればいいだけだ」
硬直したままの男に言い、あたしはそのまま、三階から下の中庭に飛び降りた……