SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……⁉︎」
……えっと……
あたしもかなり困惑していた。
……なんで……
少年から少しも視線が外せない。
とめどないざわめきが、さっきから胸いっぱいに押し寄せている……
「……どうして……」
そのうち少年から小さく言葉が漏れだした。
……なん、なの……?
あたしは訳が分からない。
この正体不明の気持ち、
あったかいような、むず痒いような……
しかも……あ、れ……?
この少年、 どこかで……
誰かに似てるような気が……
「——橘くん!」
どこからか声が飛んできた。
「どうしたの⁉︎ 急に……」
少年を追って来たのか少女が一人走ってくる。
……?
少女が呼んだその名前が頭の中にこだました。
—— “ たちばな ”
……たち、ばな……?
……たちばなっ……⁉︎
「もしかして、橘湧人っ⁉︎」
今度はあたしの呼吸が止まった気がした。
そのまま固まって動けない……