SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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「「……ハアッ、ハアッ、」」


湧人が連れてきた場所は“立ち入り禁止”の看板が置かれた東校舎の屋上だった。


「……っ、美空っ!」


振り向きざま、湧人はすぐにあたしと目を合わせる。


「……ウソだろっ、本当に美空……?」


さっきと同じ張り詰めた表情。
銀の瞳を細かに揺らし、湧人はあたしに聞いてくる。


「うん、そうだ。あたしは美空だ」


「……本当に……?」


いまだ信じられないといった様子……


……ああ、


あたしはそうかと思い出して、つけていたウィッグとコンタクトを外す……


「うん。 あたしは本当に天使美空だ」


本来の自分の姿を湧人に晒した。


「……っ、 ……美空っ……」


束の間、息をのみこんで湧人があたしを抱きしめる。


「……美空っ、 ……美空っ、」


少しの震えと涙声。

存在を確かめるように手が強弱をつけ、あたしの頭や肩や腕、背中の辺りをさすってる……


「……美空っ……」


そうして、しばらく抱きしめた後、


「……でも、 だったら何で……」


ふと離れ、湧人は急に苦痛に歪んだ顔をした。
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