SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「あ〜、 それは一樹がここに行けって」
「一樹さんが?」
「うん。 ある日突然行けって言うんだ。 ここじゃないとダメだって。 なんか強引だったんだ」
「…………」
「こんなお金持ちで厳しい学校、あたし苦手なんだけど……」
すると、
「……っ、周りを見ろってっ……幸運って……そういう事⁉︎」
湧人がハッと声を上げた。
「……? 湧人? どうしたの?」
「……ああ、いや、オレこのあいだ一樹さんと会って……」
「……え⁉︎ そうなの⁉︎」
「……なんだ、そっか、こういう事だったんだ……」
「湧人? あたし分からない」
すると湧人はあたしの目の高さまで腰を落とす。
「たぶん、一樹さんが会わせてくれたんだ、オレと美空を……」
近い距離で、湧人はほんの少しだけ微笑んだ。