SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

「あ〜、 それは一樹がここに行けって」


「一樹さんが?」


「うん。 ある日突然行けって言うんだ。 ここじゃないとダメだって。 なんか強引だったんだ」


「…………」


「こんなお金持ちで厳しい学校、あたし苦手なんだけど……」

すると、


「……っ、周りを見ろってっ……幸運って……そういう事⁉︎」


湧人がハッと声を上げた。


「……? 湧人? どうしたの?」


「……ああ、いや、オレこのあいだ一樹さんと会って……」


「……え⁉︎ そうなの⁉︎」


「……なんだ、そっか、こういう事だったんだ……」


「湧人? あたし分からない」


すると湧人はあたしの目の高さまで腰を落とす。


「たぶん、一樹さんが会わせてくれたんだ、オレと美空を……」


近い距離で、湧人はほんの少しだけ微笑んだ。
< 49 / 295 >

この作品をシェア

pagetop