SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「それで、美空は湧人くんに好きだと言われて、何か特別な気持ちになったりなどはしなかったのですか?」
一樹がさらにあたしに聞いてきた。
「……特別?」
「例えば胸がドキドキしたり、息苦しく感じるなど……」
「あ〜、そういえば……」
あたしはぐるりと視線を一周させる……
「おかしいとは思った。 でも、五年前も時々ムズムズしてたし。 ……あっ、透といた時はちょっとだけドキドキした気がする」
「……透、くん?」
「ああ、前の指揮官の息子か?」
「うん。 でもあれは嫌な予感のドキドキだった。 あの時、あたしちゃんと予知してたんだ、これから大変な事が起こるって……」
「「…………」」
なんだか急にシンとする。
嫌な事でも思い出したように二人は顔を曇らせる……
「……デザートにしましょう。 用意しますので少しお待ち頂けますか?」
一樹がサッと席を立った。
「「…………」」
リビングに残されたあたしと奏太。
テーブルにヒジをつき、奏太は遠くに視線を向けている。
そのうち、髪をワシャワシャし、
「……はあ〜。 ……なあ、」
ため息の後、奏太はあたしに口を開いた。