SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「きゃっ! 王子!」
「フン、 またかよ!」
最近、湧人もここへ来て一緒にお昼を食べるようになっていた。
湧人が来るといつも周りがザワザワするけど、湧人はまったく気にしない。
なんというか、前はそんな状況に遠慮というか、気にする素振りを見せていたのに、今は誰の目も気にしないで自然にあたしに接してくるし、積極的に会いにくる。
それとは逆に、佑影の方はあんまり勢いがなくなった。
あんなに強くあたしと湧人を引き離そうとしていたのに、今は半分あきらめてるというか、いつもより少し不機嫌になるだけだ。
今も吐き出した溜息と共に顔を横に背けている……
「……あれ? 美空、お昼は?」
湧人がグリムと同じ事を聞いてきた。
「あたしは……いいんだ」
そう言いながら、視線は湧人が持ってきたオマールエビのクリームパスタに貼り付いている。
「今日はすごくおなかがいっぱいで……」
じーっとじーっとパスタを見つめる……
「ふうん。 じゃあ、良かったらこれ食べて?」
湧人がパスタを差し出した。
「……え?」
「「……は?」」
「おなかすいてるんだろ? オレの分、別に持ってくるから」
そう言って湧人はサッと席を立つ。
「……なに? テレパシー?」
「おまえ腹へってたのかよ!」
「……ありがとう……」
あたしは湧人の背中に言った。