SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

————次の日。


「……う〜ん……」


あたしはまた頭を悩ませていた。

部屋の中には裸の男のブロンズ像が30体……

あたしの身長ぐらいのそれが、アルバイトが終わった昨日の夜遅くに届いたのだ。

おととい届いた圧力鍋とブロンズ像で部屋には少しの隙間もなく、あたしは玄関の隅で一夜を過ごしたのだった。


「……どうしよう……」


今日はけっこう本気で悩む。

毎日こんなに何か届いてたらいくらあってもお金が足りない。

昨日届いたブロンズ像が着払いじゃなくて良かった……

でも、一週間以内に300万払えと書かれた請求書に、どうしたものかと考える……


「……う〜ん……」


圧力鍋でブロンズ像を煮込んでみるか……

いや、それじゃどうにもならないし、何をやってもお金は払わないとだめだよね?

学校より仕事を優先するか……


——ガチャ……

いろんな事を考えながら部屋を出る。


「もしもし? 社長? ごめん朝早く……実はいっぱい働きたいんだ。今度から朝でも昼でも……え? ない? なんでもするから、お願い……」


途中、社長に電話しながら、足取り重くあたしは歩いた。
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