恋〜依存から始まる物語〜
悠斗said
最悪だ。
なんで、今。
今、俺は教室に来ていた。
先生に頼まれていた資料を置きに。
でも、タイミングが悪すぎた。
今、教室で行われていることは俺からしたら最悪以外のなにものだもない。
キス
別に普通に知らない人がやっているのだとしたら素通りする。
だけど、相手が神崎さんと長谷だった。
しかも神崎さんは、身を任せてるみたいだし、何よりあの表情。
勝ち目なんてない。
わかっていたが、また、突きつけられた気がした。
数分後、やっと唇を離した二人からは楽しそうな会話が聞こえる。
「急にはびっくりするんだけど」
「ごめん、ごめん。でもすず抵抗しなかったでしょ?」
「…………………………」
黙ってうなずく神崎さんはとっても可愛い。
だけど、その内容は俺が耳にしたくないことばっかりだ。
なにが好きで、好きな女子のキスシーン見なくちゃいけない。
ラブラブな会話を聞かなきゃいけないんだよ。
もういたくなかった。
そして俺は、駆け出した。