これを恋と呼ぶのなら
これを恋と呼ぶのなら
パシャ、と小気味よい音を立てて私は青空を閉じ込めた。
何もかもを吸い込んでしまいそうな澄み切った青に、ふふっと笑みが溢れる。
写真を添付して、幼馴染みの彼に送信する。
【ちゃんと上向いて頑張ってるよ】とメッセージを送ると、彼から同じような返信が届く。
写真は味気ない会議室かどこかの天井で、【こっちはまだ屋内だ】と書いてある。
続けて【いい青空だな】とラインが届き、思わず頬を緩ませた。
「こぉ〜ら、凛恋。なにスマホ見てニヤついてんの」
「……希美」
彼とのやり取りから目を上げて、私は彼女に視線を向ける。
会社での昼休み。
屋上でランチを終えた私の隣りで、親友の希美が微笑を浮かべた。
スマホ片手に、彼女はアイスコーヒーのストローに口を付けている。
大体こういう時、女友達なら「彼氏?」と聞いてくるのかもしれないが、希美がそうしないことを私は知っていた。
ちょうど三日前の事だ。
残業を終えた私は、それまで付き合っていた彼氏の裏切りを目撃した。