これを恋と呼ぶのなら
それでまた明日、ゆずにごめんねって謝りのラインを送ろう。そうしよう。
冷蔵庫のガラス戸を開けて好みの酎ハイを手にした所で、ガシ、と右腕を掴まれる。
ーーえ。
「飲むつもりならちょっと付き合えよ」
隣りには真剣な目で私を見るゆずがいた。
ーーなんで? 追いかけて来てくれたの? さっきの女の子は?
くいっと顎をしゃくる彼を見て、私は大人しく手から酎ハイを放した。
*
来た道を戻り、ガヤガヤとした少し手狭の居酒屋に入った。
店員さんに促され、奥まった場所の二人席に腰を下ろす。
先週入ったお店と違い、テーブルが小さいせいかゆずとの距離も近い。
さっきの罪悪感から、彼を見つめる自分に辟易し、私は手元に目を据えた。
「お前なに飲む? カシオレか?」
うん、と小さく頷く。
すみません、と声を掛け、ゆずが店員さんに「生とカシスオレンジ下さい」と頼んでいた。
「凛恋、あの辺で仕事してるんだな?」
「うん」
相変わらず彼と目を合わせられず、私はメニューを見つめていた。
「腹減った? 何か頼む?」
ゆずが私の視線に倣ってメニューを広げるが、私はううんと首を振る。
「……告白」
「ん?」
「されてたね、さっき……」