プリン博士の憂鬱な日々
「えーと、赤い箱は、かぜで青。青い箱は赤……」

 今田は間違わないように復唱した。

「早くしてくれよ。歌が上手くだから、美声だろう!」

 マネージャーは、そう言って青い箱を今田から奪った。

「ちょっと、青はかぜに効くんだよ」

「何だよ。こっちじゃないのか。そっちと取りかえて!」

 マネージャーは箱を交換すると一目散に出て行った。

 銅坂も残った青い箱から、赤いカプセルを取り出し、水なしで薬を飲み込んだ。

「どうですか?」

 今田は効果を期待した。

「ん?」

 銅坂は黙って首を傾げた。

「効かないんですか?」

「これは喉がスッとして良い感じだよ」

「良かった」

 銅坂は急に笑顔になり、出て行った。
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