プリン博士の憂鬱な日々
薬の効果
「おーい起きるプル!」

 プリン博士に揺すぶられて、今田は目を覚ました。

「あれ?」

「ぐっすり寝たから気持ちいいだろうプル?」

 プリン博士はニタニタと笑っている。

「はい」

 今田は頷いたが、寝起き直後に笑顔を見せられても、気持ちが悪いだけだった。

「さっき電話でこれからテレビで歌うんだそうだプル」

「誰が?」

「あの、歌手になりたい人に決まってるプル!」

 テレビ番組は素人のど自慢だった。

 素人が次々と歌うのだが、下手ではないが、聴いていると飽きて、今田はあくびをした。

「あいつだプル!」

 三番目に銅坂が映った。咳払いをしている。薬が効かなかったのだろうか。

 素人だから期待はしない。短いイントロの後に歌い出した。

 すぐに咳き込み、観ていても心配になるほどだ。生放送でなければ咳が治まるまで待って、始めからやり直しも可能だろう。
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