プリン博士の憂鬱な日々
ようやく咳が止まり、歌い出した。

「わぁ!」

 今田は聴き惚れた。

 上手いし、心に響いて、感動の涙まで滲んでいた。

 続いてテレビの画面には先日、ここにも来た女の子がテレビに映っていた。

 彼女はプロとして、見本のような存在だ。

 これからプリン博士の作った薬の効果がわかる瞬間でもあった。

「あー、間違ったプリ!」

 急にプリン博士は叫んだ。

「どうしたんですか?」

 独り言かもしれないが、今田は反応してやった。

「赤い薬は赤い箱に入れないといけなかったプリ」

「どういう事? そうか、赤い箱に青い薬を入れて渡したから……」

「やばいプリ」

「どうなるんですか?」

「そんなの決まっているだろうプリ」

「わからないので教えて下さい」

「音痴で、(ひど)い歌になるプリ。テレビが壊れるプリ」
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