プリン博士の憂鬱な日々
のど飴なら、プリン博士に頼まなくても自《みずか》ら買いに行けばいいのではないの?

 いかん、思考停止だった。上の行を消去。


 すでに研究所には銅坂はいなかった。代わってメガネをかけた男性と若い女性が、プリン博士に相談をしていた。

「これからウチの事務所で売り出す歌手なんですが、顔はいいんですが、歌がどうにも下手で」

 と、メガネをかけたマネージャーは言った。

「そう、言われてもプル」

「お願いします。スターになりたいんです!」

 と、女性は必死に訴えてきた。

「お金に糸目はつけません!」

 マネージャーは、カバンから百万円の札束を五束ほど出した。

「う~ん」

 プリン博士は腕を組んで俯いた。

 今田はのど飴を渡す用事がある。

「博士、買ってきましたよ」

「……」

 プリン博士は反応がない。
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