花鎖に甘咬み



朝起きて、ある程度の身支度を済ませたら、朝食をとる。

その生活リズムが叩きこまれた体は、今日も正確な時刻に空腹を告げていた。

正直言うと、おなかぺこぺこなの。
ちょっと、もうそろそろ限界なの。



────だからといって、お腹が鳴るのを聞かれるのは、恥ずかしくてたまらない。限界近くの空腹と、それを上回る恥ずかしさとで、よくわからないまま涙目になっていると。




「ふっ、ははっ、あーほんと、ちとせって何でそう見てて飽きねえんだろうな」




肩を震わせながら、真弓がやっと腰を解放してくれる。




「つか、ちゃんと目覚めて朝ごはんの時間に腹減るって、めちゃくちゃ健康体だな」

「真弓はお腹すかないの?」

「そーいや、朝にあんま食わねえな」

「え゛っ」



さすがに、まじまじと真弓の体を見つめてしまう。頭のてっぺんから、毛布に隠れているつま先まで。

眠らないとか朝ごはんをとらないとか……。




「ちゃんと眠って、ちゃんと朝ごはん食べないとだめだからねっ? 体に悪いんだからねっ?」

「あー……。まあ、別に俺の体がぶっ壊れても、誰も困んねえしな」


「困るよっ! 私が困るもん!」





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