花鎖に甘咬み
「下ろすぞ」
俵担ぎされていたところから、すとん、と下ろされる。さっきはあんなに無遠慮に担ぎあげたのに、なぜか、下ろすときはやけに丁寧だった。
にもかかわらず。
「わ、わっ」
地に足をつけた矢先、膝から崩れ落ちてしまう。だめだ、ふるえて、足に力がうまく入らない。
こわかったのと、それから、緊張と、不安と。
「っぶな、腰抜けてんのか」
倒れこむ寸前、腰に腕がまわってきて、ぐっと抱きとめられた。
「ご、ごめんなさい……っ」
「立てねえんなら、担いでてやるよ」
ふ、と鼻で笑った彼はまた、強引に私を担ぎあげる。
ひょいと肩の上に乗せられて、あっという間に俵担ぎ。もしかしてこのひと、私のこと、米俵かなにかだと勘違いしているのかもしれない。
「あのっ」