花鎖に甘咬み



どういうこと……?
ぽかん、と口を開けていると。



「極度の女嫌いなんだよ、純圭サンは。つうか、あれはもうアレルギーの域だな」



そう言って、青葉さんは私と純圭さんを見比べた。



「正直、お前と話してるだけで奇跡みたいなもんだ。同じ空間にいるだけで吐き気がする、女に触れば蕁麻疹が────」



青葉さんの言葉がふいに途切れた。
代わりに、カツ、カツ、と高圧的な足音が響く。


青葉さんが信じられないものを見たように目を大きく見開くから、視線の方向へ首を回すと。




「……!」




まっすぐ、こちらへ近づいてくる、純圭さん。


思わず息をのむ。

だって、今、青葉さんが、「純圭さんは重度の女アレルギーだ」って言ったばかり……。



革靴の音は私の目の前で止まる。

至近距離になると、威圧感がぐっと増して、ごくりと唾をのむ。


いったい何を、と思った次の瞬間。



「っ、きゃっ!?」



ガタンッと激しく音がして視界がぐるり回る。

気づけば椅子が正常な状態に起こされていて、私はその上に座っていた。久しぶりに視界の向きが正しい。



「これで満足か」




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