花鎖に甘咬み
「わ、ベッドがある……!」
ふわふわのベッドが置かれている。
あれ……? でも、なんか……。
なんだろう、この感じ。
ベッドと、小さなテーブル、たったそれだけ。
最低限の家具の他になにも置かれていない、この無機質な感じは、見覚えがあって……。
「ここ、もしかして……真弓の部屋?」
「よく分かったな。俺の部屋 “だった” 場所だ」
言いつつ、真弓はぐるりと部屋を見渡す。
「俺の後には誰も使ってねーらしいな」
好都合か、と呟いて。
真弓は私をベッドの上に降ろした。
ふかふかのマットレスが、体重で心地よく沈む。
張りつめていた心がようやくほどけていく。
ふー……と息をついていると。
「っ!」
真弓のごつごつした手のひらが、あろうことか、スウェットの下からすべりこんできた。
わざとなのか、そうじゃないのか、真弓の指がお腹のやわらかいところにかすめて、声を上げそうになる。
そのまま、真弓がスウェットを捲りあげようとするから。
「……っ、待っ、なにしようと……っ!」