花鎖に甘咬み
「何、って」
「っ、ひゃ……!」
思わず真弓の腕を掴んでしまうけれど、それくらいでは不可抗力。ぺろん、とあっけなくスウェットが捲られておへそのあたりまであらわになる。
素肌を真弓の指がすすすー……とすべっていく。
けれど。
それは、やらしい触れ方、というよりは……。
「触診……?」
お医者さんみたいな触れ方だ。
触れても痛くないか、確認するみたいに。
「……確かめてんだよ。他に傷がねえか」
「他……? 私、大丈夫だよ? なんともないし、どこも怪我なんか────」
「は? なんともなくねえだろうが」
あからさまに顔をしかめた真弓が私の手首をつかまえた。
縛られていたときにできた鬱血痕を見つけて、苦しげに表情を歪める。
「手首だけじゃねえだろ。足首も、喉のとこも、そこかしこに痣作られて、平気な顔すんじゃねーよ」
「だ、だって。ほら、血だって出てないし、もう痛くないし、これくらいほんとに大したことない……」
「大したことあるだろ。痕残ったらどうすんだ」
真剣な顔つきのまま、真弓は私の全身の傷をくまなく確認した。
ひととおり確認して、それで終わりかと思えば。