花鎖に甘咬み



「お、正解だ。すごいね」



目を細めて、人のよさそうな笑顔で微笑む。




「体、大丈夫? 昨夜、かなり無茶したでしょ」

「あ……、えっと、大丈夫です。寝たら疲れもとれました」

「はは。若いっていいな」

「えっ」




燈さんの童顔を前に、思う。
私より、燈さんの方が若い、よね……?

若いというか、幼いというか。




「真弓は今外に出てる。倉庫の周りを警戒してもらってるんだ。で、交代で僕がここに戻ってきた」

「……」

「真弓にちぃちゃんの傍を離れんな、って釘さされちゃったしね。僕がいて落ち着かないと思うけど、ちぃちゃんはもうちょっと寝てていいよ」




ね、と安心させるように微笑みかけられるけれど。




「あの……、燈さんって」

「ん?」

「何者、なんですか?」




どストレートな質問をぶつけると、燈さんが目を見開いて、ごほっとむせた。




「あれ、まさか、真弓から何も聞かされてない?」




何も、ってわけじゃない……けれど。


私にわかることは、目の前にいる彼が一ノ瀬燈さんだということと、おそらく彼は〈赤〉に所属していることと、なぜか昨夜、私たちを助けてくれたこと。



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