花鎖に甘咬み
月
× × ×
燈さんがカチャリと内側から鍵を開ける。
と、その瞬間、勢いよくバタンッと扉が開いた。
「おい、なにちゃっかり鍵かけてんだよ」
つかつかと中に入ってきたのは、真弓だ。
なぜか不機嫌に眉間にシワを寄せている。
「えー、防犯上、鍵はかけといた方がいいでしょうよ」
悪びれずに肩をすくめた燈さんを、真弓は軽く睨む。
「それだけじゃねえだろ」
「まーね。ちぃちゃんとのせっかくの2人きりの時間をジャマされたくなかったし」
「おい」
「べつにさー、僕とちぃちゃんがどうしてようと、真弓には関係ないはずだよね。恋人でもあるまいし」
チッ、と真弓の舌打ちが響く。
「はは、そんな怖い顔しなくても、別にやましいことは何もないよ。安心して」
「当たり前だろ」
怖い顔のまま答えた真弓に、燈さんはふっと吹き出した。
そして、気を引き締めたように真顔に戻る。