花鎖に甘咬み


「っ、うあ」

「ぐ……っぅ」

「ヒ……ッ」



バタリ、ドサリ、耳をふさぎたくなるような悲鳴とともに、真弓の前に人が転がっていく。


あんなにたくさん人がいたのが嘘みたいだ。
それは、わずか数分のこと。



「ちとせ! こっちはあと1人だ!」



真弓がそう声を上げると、私の前に立ちはだかっていた2人が真弓の方へ加勢に回る。



「真弓、左右に2人!」

「問題ねえ、見えてる」



加勢に回ったはずのふたりを肘で軽くいなした真弓は、最後のひとりの鳩尾を綺麗に一突きした。



これで全員。
ほ、と息をつく。終わったんだ。



やっぱり真弓のそばにいれば、怖いものなんてない。

安堵の笑みが自然とこぼれそうになった、そのとき。




「────っ、ちとせ!! 後ろッ!」





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