花鎖に甘咬み


「だ、大丈夫だよっ? もう血、止まってるでしょ! ほら!」

「……」

「これくらい全然平気だよ。そこまで深い傷じゃないし、ちょこーっと痛かっただけで」

「────あのときお前を襲ったのは〈黒〉のヤツだ。〈白〉に紛れて、最初から奇襲を狙ってたらしい」




ぽつりと真相が明らかになる。



そうだったのか。

たしかに〈白〉の人が私をあんな風にピンポイントで狙ってくるなんて、おかしいなとは思った。

〈赤〉や〈白〉の人たちが真っ向からやりあうのに対して、随分ずる賢い手段をとるのも異質だなって。


ほう、と納得していると。




「……気づけなかったのは俺の落ち度だ。お前は俺のせいで怪我したんだよ」

「へっ?」

「お前が死にかけたのは俺のせいだ」




なに、言ってるの。

なんで、そんなこと言うの。






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