花鎖に甘咬み
「ちがうよ! 反対でしょっ? 私あのままだったらそのまま後ろからグサリやられて、それこそ大変なことになってた……! それを助けてくれたのが真弓でしょっ?」
「違う」
「ちがわない!」
「……違ぇんだよ」
届かない。
こんなに近いのに、もどかしいくらい遠い。
目も合わせてくれない。
かろうじて黒髪の隙間からのぞく横顔は、びっくりするくらい青白かった。
今にも倒れてしまいそうなくらい弱々しくて、こんな真弓を見たのははじめてで。
「真弓、だいじょう────」
「大丈夫じゃねえのは、お前だろ」
潰れそうな声で真弓が、言う。
大丈夫なのに、私は、ほんとうに。
真弓の方が、今にも崩れ落ちてしまいそうだ。
「まゆ────」