花鎖に甘咬み
「で、ソレ、燈の許可は降りたの?」
「ああ」
「……ほんっと、マユにはとことん甘いねー。ま、マユが無理やり飲ませたんだろうけど」
仕方ないな、と伊織さんは大袈裟に肩をすくめた。
「協力してあげるよ」
「助かる」
「言っとくけど、普通こんな滅茶苦茶なことに手は貸さないから。今回だけ、特別だよ。────マユの目が珍しく死んでないからね。どーでもいーって顔してないから」
伊織さんがちらりと私に視線を流す。
含みのあるその視線の意味は測れない。
ちょうどそのタイミングで、ごくん、と最後のひとすくいを飲み込んだ。
目の前の空になったお皿を、既に食べ終えていた真弓の分と合わせて伊織さんが回収してくれる。