花鎖に甘咬み
唯月くんと北川グループの本社に乗りこんだ私は、“北川家令嬢” の肩書きを存分にふりかざして、たくさんの協力を得た。“勉強” だと言葉巧みに言い張って、見せてもらった門外不出の資料たち。
そこからない頭をしぼって考えた新しい事業。
足りないところや弱いところは、お父様と同じくらいには頭のキレる唯月くんのアドバイスをもらって……会社の人たちに頼みこんで目を通してもらって、また修正して。
だって、こうでもしないとお父様とは闘えない。
ここまでしないと、お父様に負けてしまう。
どうしても、負けられない。
もう後には引けない。
だって。
「……ちなみに、この話はもう森宮さんにも通してあるわ。婚約は円満に解消の方向で、話は進んでる。快く受け入れてくださってるの。新規事業の舵は私がとる」
『お前の “運命” なんてその程度だって俺が保証してやるよ』
私の運命なんて、その程度だって。
私ひとりでぶっ飛ばせなきゃだめなんだから。
「……小賢しい真似を」