花鎖に甘咬み
「この女の指示どおり、〈白〉の特攻部隊を動かす。お前ら、指揮をとれ」
「はっ」
指示を受けた青葉さんとミユキさんが立ち上がって、駆けていく。その後ろ姿をぼんやり見送って、慌てて我に返る。
「あ、ありがとうございますっ!」
「礼はいらない。あくまで“交渉”だ」
「……!」
「俺は今から、宍戸兄と合流する。要するに、〈黒〉の本部の足止めをすればいいのだろう」
こくり、と頷くと、純圭さんはくるりと背を向ける。
私も、花織さんのところに戻らないと。
純圭さんと会うことは、きっともうない。
そう思ったタイミングで。
「本城に似合いの変な女だな、全く」
呆れたような、それでいてどこか温もりのある純圭さんの独りごちる声が届いた。