花鎖に甘咬み

× × ×



〈白〉の倉庫を出た私は、また花織さんの運転するバイクにまたがる。

宵闇を器用に切り裂いて駆け抜けながら、花織さんが私に声をかけた。




「このまま、マユマユとの合流地点まで向かうで。マユマユはおそらく、燈が連れてくるはずや」

「はい。……あ、そういえば、真弓って私がここにいることは、知って……?」



どこまで織り込み済みなんだろうか。



「そんなもん内緒に決まってるやろ。サプライズやサプライズ」

「ひえっ」




真弓は、私を見て、どう思うだろうか。

そういえば、私、真弓に追い出されたんだったな。びっくりするかな、迷惑だって思うかな……。



うじうじと悪い方向に傾いていく思考回路をなんとか正す。

ううん、どう思われたって関係ない、私がやるべきことはひとつなんだから。




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