花鎖に甘咬み
「もう、言うてる間に着く」
「わ、わかりました」
「あんたとマユマユが合流したあとは、俺と燈は護衛に回る。とにかく、あんたはマユマユを連れて目的地を目指すんや。〈外〉にはあんたの協力者がいるんやろ」
こくり、頷く。
「ビビってる暇はないで、囲まれたら終わりやからな。〈赤〉と〈白〉の野郎どもで、できる限り、マユマユを追う〈黒〉は間引く。やけど、全員はさすがに無理や。マユマユは目ェつけられてるからな、追手も多い。たぶん……無傷で出れることはないやろ」
「……はい」
「やけど、傷を負ってもええ、生きたまま〈外〉に逃げれたらあんたとマユマユの勝ちや。俺はあんたの勝ちに賭ける」
バクバクと心臓が飛び出そうなくらい脈打つ。
やれるだろうか、私に。
ううん、やるしかないんだから。
キキ────ッ、とブレーキがかかる。
反動で目を瞑って、おそるおそる開けた瞼、視界の中に。
「……真弓、だ」
指折り数えれば、ほんとうは大した日数じゃないんだろう。
それでも、こんな気持ちになるのだから。
私を、こんな気持ちにさせるのは、世界中探してもきっと、ひとりしかない。