花鎖に甘咬み


「真弓……っ!」

「ちょ、あんた」




花織さんの制止を振りきって、バイクの上からぴょんと飛び降りる。

そのまま、気がつけば駆けていた。息を切らして、足がもつれそうになりながら走って、走って、飛び込む。



「真弓」



よかった。
……生きてる。


遠慮もなしに、胸のど真ん中に頭をくっつけると、とくとくと心音が響く、じわりと伝わってくる体温はあたたかい。

ほっと安心して、我に返って大胆な行動が恥ずかしくなって、慌てて離れようとすると。


真弓の腕がふいに背中に回って、ぎこちなく私を引き止めた。

思わず息をのむ、と。


「……夢かと思った」

「っ、そんなわけ」

「……もう戻ってくんな、って言ったのに」

「……!」




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