花鎖に甘咬み
診てくれたのは、北川の家に在中している、一家揃ってお世話になっているお医者さん。この広い病室も、そのツテで用意してもらったの。
そして、真弓は処置の途中で意識を失って────……それから、目を覚まさない。手術は上手くいったのに、それからもう2日も経ってしまった。
「……真弓」
このまま目を覚まさないんじゃないかと、ふいに怖くなる。
でも怖がってちゃだめだ、私が信じなくてどうするの、と首をふるふる横にふる。
そっと真弓の髪を撫でる。
無防備な顔があらわになった。
顔には傷ひとつついていなくて、相変わらず彫刻のように整っていて、綺麗で、目が離せずにじっと見つめているうちにたまらなくなって。
「真弓」
形のいい唇に、吸い寄せられるように顔を寄せる。
だめかな、こんなの、はしたないかな。
でも……真弓だって、勝手にしたもん。
だから、許してほしい。