花鎖に甘咬み


「……っ」



そっと、唇を合わせる。
柔らかい感触がして、きゅっと目を閉じれば。



「────ん」

「えっ?」



ぱ、と体を起こす。

すると、体の下でなにかもぞもぞと動く感触がして、息をのんだ。ようやく理解が追いついて、目を見開いたタイミングで。



「ちとせ」

「!」

「……なに人の寝込み襲ってんだよ」



聞こえた声に耳を疑う。

あんぐりと口を開けて、マヌケな顔をさらした私に、ついさっきまでぴくりとも動かなかったその人は、ふは、と声を上げて笑った。



「はよ」

「……おはよう……じゃ、ないよ!!」




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