花鎖に甘咬み


ぽす、と力なく真弓の胸を叩く。

安堵とそれから、この数日間降りつもっていた不安が一気に弾けて、ぼろぼろと涙が溢れた。ひっく、と嗚咽を繰り返しながら、真弓に訴える。




「し、死んじゃうんじゃないかと、不安で不安でじがだながっだんだがらあ゛……っ」

「ふは、死なねえよ、そんな簡単に」

「だっで、ぜんぜん起ぎない゛じゃん〜〜〜!」

「お前に救われた命なんだから、捨てるわけないだろ」



ぼろぼろと流れる涙を下から真弓の指先にすくわれて、それで気づく。あれ……真弓の指も震えてる?


それから、声も。


真弓も、もしかして、泣い……?


察しかけた私の視界を、真弓の手のひらが隠すように覆った。それから、隠しきれていない震えた声で。



「……ありがとな」

「っ、ううん、私は私の好きなようにしただけだよ」



そう答えた私に、真弓は視界を覆っていた手をはずしたかと思えば、そのまま両手を私の頬にすべらせて。ふわり、と優しく輪郭を包み込んだかと思えば。



「俺も好きだよ、お前のことが」

「……!」

「────だから」



真弓の瞳が切なく揺れた。
そして、希うように、懇願するように。



「俺を、お前のそばに、置いてほしい。これから先……ずっと」

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