花鎖に甘咬み
「わ、わかったよ、始めるよ……っ」
「お、やる気になったか?」
「あの、痛かったら言ってね?」
「ああ」
ゆっくりと古い方のガーゼを捲る。
あらわになった、目を瞑りたくなるような傷口に、新しいガーゼをそっとのせた。
はやく、よくなりますように。
心の中でそう願いながら、慎重にガーゼで覆ったあとは、それを固定するように包帯をぐるぐると巻きつけていく。
巻くだけだから簡単だろう、とたかをくくっていたけれど、実際に巻いてみるとなかなか難しい。
扱い慣れない包帯は、次第に迷子になって不格好に歪んでしまって。
「あ、あれ……っ?」
思いどおりにならない完成形に、首を傾げていると「ふはっ」と笑い声が降ってくる。出どころは、もちろん、真弓しかない。
「くくっ、お前、不器用すぎんだろ」
「っ、慣れてないんだもん! 仕方ないよ……っ!」
「にしてもだろ。これ、逆にどうなってんの?」
変に絡まった包帯を見つめて、にやにや笑う真弓。
うう、タチが悪い。
そして、私も、情けない。
これなら私が出しゃばらずに、真弓が自分で巻いた方が良かったかもしれない。
しょぼん、と落ち込んでいると。