花鎖に甘咬み


「ありがとな」

「下手くそなのに?」

「これはこれで味があっていいだろ」

「味、って」



全然フォローになってないよ、って。
文句を言おうとしたところを真弓が遮った。



「元気出そう。気に入った」

「へ、どうして……」

「見る度にお前のこと、思い出すだろ」



じ、と真弓が私を見つめる。

その視線には、もう隠そうともしない甘さがにじんでいた。



「ちとせ、来いよ」

「……!」


ベッドの上で上体を起こしただけの真弓が、誘うように両腕を広げる。

もちろん、誘惑に抗えるはずもなくて。


できるだけ真弓の傷に差し障りないように、慎重にベッドの上に乗る。

ギシリ、とスプリングが軋んだ。



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