花鎖に甘咬み
「おいで」
真弓が手招きするのは、彼の体の上。
だけど、それは、さすがに……。
「傷! 傷、開いちゃう……っ」
「何言ってんだ、これぐらいじゃ開かねえから安心しろ」
「安心できるわけないっ」
「お前に触れないほうが体に毒なんだけど」
「っ!」
甘えるように、そんなことを言われてしまえば、抵抗できない。
おそるおそる、真弓と向き合うような形で、腰骨のあたりに体重を乗せると、すぐさま抱えこむように腕が回ってきた。
「やっぱ、お前抱き心地いいな」
ぎゅっと、ぎゅーっと、隙間もなくなるくらいに強く抱擁される。
ふたつの体の合間で心臓の音がとくとくと響いていて、それがどっちのものかもわからない。
ただ、温かい体温に、泣きたくなるくらい幸せだと思う。
私をしっかり抱きしめたまま、真弓は耳もとで口を開いた。