花鎖に甘咬み
× × ×
「ん〜〜!! おいし〜〜〜!染みるっ」
「ふは、お前な、わざわざ寿司屋に来て食うのがそれかよ」
「だって初めて見たんだもん、お寿司にハンバーグが乗ってるなんてっ」
あれから────、あの謎の扉の外に出てきてから、数十分も経っていない。回転寿司屋さん “ネッシー寿司” は思っていたより遠くなく、中に入ると混んでもなく。
すぐに席まで通してもらえたの。
ピコン、と電子音が響いて真弓がさっき頼んでいたサーモンのお寿司が新幹線型のトレイに乗って颯爽と現れた。
何度見ても、びっくりしちゃう。
真弓がサーモンのお皿を取り出すのを、口をあんぐり開けたままじーっと見つめていると。
「ちとせ、なんつー顔してんだ」
「感動してたの」
「感動?」
「ほんとにお寿司はレーンをくるくる回ってるし、かと思えば新幹線に乗って飛んでくるし……!」
「そんな珍しいか?」
「回転寿司発明したひと、天才だと思う!」
「ふっ」
軽く笑って、真弓はサーモンのお寿司を口に運ぶ。
お箸の持ち方が、意外ときれい。
真弓ってなんでも雑そうなのにね。
それで、ハンバーグのお寿司をもごとご頬張る私をちらりと見て、また真弓は軽く笑った。
なにがそんなに面白いんだろう。