花鎖に甘咬み
「ちとせ、次何食う?」
食え食え、と真弓が注文するタブレットを傾けてくる。
タブレットでオーダーするのも、生まれてはじめてのことで何もかも新鮮。
北川の家にあのまま閉じこめられていたら、こんなことも知らないままだったのかもしれない。
「次はねえ、ブリとあん肝!」
「……渋」
「そうかなぁ? 好物なの」
「年齢詐称してんじゃねーだろうな」
「まさか!」
ひらひらと顔の前で手をふる。
あれ、そういえば……。
「真弓は?」
「なにが」
「年齢。いくつなの?」
聞いてなかったよね。
私よりは確実に年上だと思うけれど……、うんと大人びても見えるし、私とそんなに離れていないようにも見える。
「今年19」
「じゃあ……今は18?」
「そう」
私より、ふたつ年上、かぁ。