花鎖に甘咬み
思っていたよりも切実な声になって、自分でびっくりした。
何も言わない真弓に、焦ってドギマギして付け加える。
「もっ、もちろんタダでとは言わないから! えーと、いや、お金は残念ながら持ち合わせてないのだけど! できることなら何でもするから! ほら雑用とか、ええと、肩たたきとかっ、ねっ?」
「ふっ、はっはっ」
必死の形相の私に、真弓が突然肩を揺らしはじめる。
かと思えば、前のめりになって、私の目をじーっと見つめて。
「ちとせさあ、ほんと綺麗な目ェしてんな」
「え……?」
「そのままでいろよ、ずっと」
「へっ? 目がどうかした?」
「アホみたいにキラキラさせとけ」
「どういう意味っ?」
「お前のこと、本格的に拾ってやるよってことだ」
「え……いいの? ────っ、ん」
私のほうが、真弓を掴んでいたはずなのに。
いつの間にか逆転している。
とつぜん降りた許可に面食らう私を、強引に引き寄せて、真弓はそっと唇を重ねた。
二度目のキス。
……が、まさか回転寿司屋さんで、酢飯の味がすることになるとは、思ってなかったけれど。