花鎖に甘咬み
青いランプ
× × ×
北川ちとせの朝は、きっかり7時にはじまる。
体内時計はかなり正確。
アラームを鳴らさなくたって、毎朝この時間にぱっちり目が覚めるのは、そういうふうに教育されたからだ。お嬢様教育の一環なのである。
目覚めた瞬間から、お行儀よく、淑やかに────だけど、さすがに今日の朝はそうはいかなかった。
「っ、ひゃあああああっ!」
翌朝、きっかり7時に覚醒。
ぱち、と瞼を上げると、いつも通り見なれた豪華絢爛な私の部屋の天井が────じゃない!
ここはどこ、私はだれ?
そして、目の前には……。
「んあ……? 朝っぱらから叫ぶな、耳痛え……」
「ま、ままままま真弓」
「……何回 “ま” 言うんだよ」
寝起き早々、びっくり仰天、けたたましい叫び声を上げた私に、真弓は目を閉じたままげんなりしている。
ごめんなさい、耳もとで騒いで、さすがにうるさかったよね……と反省した。
でもでも、だって、仕方ない。
心臓がひっくり返っちゃうかと思ったんだもん。
目が醒めたら、真弓の胸が目の前にあって、真弓と同じベッドのなかにいて、しかも……真弓の腕が抱きしめるみたく、私の体にまわっていたんだから。
ほら、今も。
まるで『離さない』と言わんばかりに、真弓の腕が私の腰をがっしりホールドして、そのまま離れない。これじゃあ、身動きひとつもとれやしない。