竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
「本当だわ。昨日までは違う方だったわよね?」
「まさか、本当に陛下の元を訪れて魔獣係に左遷に?」

 そんなことは知らない周りの取り巻きメイド達もざわざわと色めき立つ。

[ミレイナ。さっきからどうしたの?]

 急に黙り込んで立ち尽くすミレイナの様子を心配したフェンリル達が近くに寄ってきて、こちらを見上げる。ミレイナはハッとして、目の前にいた白い毛並みのフェンリル──エミーナに微笑みかけた。

[ううん、なんでもないの。新しいお庭は気に入った?]
[うん、とっても!]

 エミーナは嬉しそうに尻尾をブンブンと振る。その仕草から本当に喜んでいることがわかり、ミレイナも嬉しくなった。

 フェンリル達にはあの竜人達の言葉が理解できない。
 だから、ミレイナが表情を消していたのを自分達のせいだと思って不安に思ったのかもしれない。

< 123 / 319 >

この作品をシェア

pagetop