竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
(3)ミレイナ、魔獣を森に返す
魔獣の森で怪我をしたドラゴン──ラドンを保護してから一週間が経った。
[ラドンはすっかり元気になったわね。今日の午後、ラドンの住んでいた森に行ってみようかな]
ミレイナは外の遊び場の岩の上に立ち、今日も羽ばたく練習をするラドンを眺めて目を細める。
ジェラールが言うとおり、ラドンの傷の治りは驚くほどに早かった。
ここに連れてこられたときは翼がざっくりと裂けていたのに、今や傷跡がほんのりと残っているだけだ。
行方不明になっている子供のことを親ドラゴンは今もきっと探しているはずだと聞き、ミレイナはラドンが元気になったら一日も早く野生に戻してあげようと決めていた。
[ミレイナ、遊ぼうよ]
おてんばなエミーナがメイド服の裾をくいっと引っ張る。
[じゃあ、午後からお散歩に行きましょうね。先にお掃除をしたいの]
ミレイナはエミーナの頭を優しく撫でてやった。