竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
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結局、王宮に戻ったのは出発してから二時間半後のことだった。
普段ならここまで長くならないのだが、ジェラールが付いてきてくれたことがよっぽど嬉しかったのか、魔獣達がなかなか帰ろうとしないので時間が掛かってしまったのだ。
「お時間を取らせて申し訳ございません。こんなに時間が掛かるとは思っていなくって」
ミレイナはジェラールに低頭平身で謝罪する。すると、ジェラールは片手でそれを制した。
「よい。一緒にいくと決めたのは俺だ。よい息抜きになった」
なおも遊ぼうと誘うフェンリル達を、ジェラールは両手であやしながら撫でている。
「陛下は、とてもこの子達に懐かれておりますね」
「そうか? 誰にでもこうなのであろう?」
「いいえ。結構この子達、気難しいのですよ。気に入らない人にはすぐいたずらするから、何人もお世話係が辞めることになりました」
ミレイナは首を横に振る。
実際、今でこそミレイナやリンダにはなついているものの、この魔獣達はなかなかこれまでの魔獣係に懐かなかった。ジェラールは何を言いたいのかとミレイナを怪訝な顔で見返す。