竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
◇ ◇ ◇
この日、地方都市に視察に行っていたジェラールが王宮に戻ってきたのは日暮れ近くになった頃だった。
王宮に降り立つと、それに気付いたラルフが慌てた様子で駆け寄ってきた。
その表情はいつになく強張ったものだった。
「どうした? 忙しないな」
「クレッグ様が行方不明です」
「クレッグが? 何者かの仕業か?」
ジェラールの表情が途端に険しいものへと変わる。
クレッグはジェラールの妹の子供で、ジェラールは結婚しておらず子供がいないので、現時点では竜王としての王位継承権一位に当たる。まだ三歳で、ついこの間初めての竜化に成功したと喜んでいた。
「わかりません。魔獣の森に向かったとの情報があり、今、全力で捜索しております」
「すぐにゴーランを連れて探しにいく」
ジェラールは脱ぎかけた上着を再び羽織ると、舌打ちした。
タイミングが悪いことこの上ない。
最近アリスタ国と和平に向けた交渉をしており、今日も国境沿いの地方都市ではそのことについての訴えが相次いだ。不法にラングール国側に入り込み、資源の盗掘をしていると。
この日、地方都市に視察に行っていたジェラールが王宮に戻ってきたのは日暮れ近くになった頃だった。
王宮に降り立つと、それに気付いたラルフが慌てた様子で駆け寄ってきた。
その表情はいつになく強張ったものだった。
「どうした? 忙しないな」
「クレッグ様が行方不明です」
「クレッグが? 何者かの仕業か?」
ジェラールの表情が途端に険しいものへと変わる。
クレッグはジェラールの妹の子供で、ジェラールは結婚しておらず子供がいないので、現時点では竜王としての王位継承権一位に当たる。まだ三歳で、ついこの間初めての竜化に成功したと喜んでいた。
「わかりません。魔獣の森に向かったとの情報があり、今、全力で捜索しております」
「すぐにゴーランを連れて探しにいく」
ジェラールは脱ぎかけた上着を再び羽織ると、舌打ちした。
タイミングが悪いことこの上ない。
最近アリスタ国と和平に向けた交渉をしており、今日も国境沿いの地方都市ではそのことについての訴えが相次いだ。不法にラングール国側に入り込み、資源の盗掘をしていると。