竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
9.ミレイナ、アリスタ国へ戻る

(1)アリスタ国での日常

 ひとり暮らしの生活は気ままなものだ。

 朝、小鳥のさえずりで目を覚ましたミレイナは、まず井戸の水をくみに行った。
 バケツいっぱいの水を持って家の前に着くと、台所に置いてある籠の中から、先日収穫したばかりの土付きのラングール人参を手に取る。
 それをゴシゴシと洗って、皮ををむいてからスープの中にジャカイモや玉ねぎと一緒に投入した。

「今日は晴れているから、魔法石を採りに行こうかなー」

 元気に声を上げて窓から外を眺める。
 雲ひとつない蒼穹は、まるであの事件があった日のようだ。


 ミレイナは籠を持って一時間ほど歩き、アリスタ国の国境付近にある草原へと向かった。
 長年の勘で周囲を見渡すと場所に当たりをつけ、屈んでその場を掘り始めた。地面に埋まっている魔法石を探しているのだ。

「見つけた」

 今日も順調に魔法石を探し当て、五個目の魔法石を見つけたところで不意に地面に影が映る。バサリと羽ばたく音が聞こえてミレイナはハッと上空を見上げた。

< 251 / 319 >

この作品をシェア

pagetop